写真整理#2(写真の価値)

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この写真、何かわかりますでしょうか。

これは2011年5月28日、気仙沼市唐桑体育館の様子です。

体育館の床に敷き詰められているのは、東日本大震災の瓦礫の中から自衛隊の人たちが回収してきた思い出の品。そのほとんどはアルバムや写真です。

東日本大震災直後、政府は「思い出の品を瓦礫扱いしないように」という指示を自衛隊に出したと聞きます。自衛隊の方々は写真やアルバムを見つけると体育館等に持ってきて、ボランティアの方々が津波で汚れた写真たちをきれいにして持ち主に返す活動をしていました。富士フイルムは「写真救済プロジェクト」を2011年4月中旬に発足、私もそのメンバーとして支援活動をしていました。
https://photo-rescue.fujifilm.com/ja/

宮城県名取市の閖上小学校。津波の被害が甚大だった場所です。
アルバムで埋まったカゴが大量にありました。

2011年4月9日、初めて被災地に入った時に気仙沼の避難所でリーダーの方から言われた言葉。

「津波に遭った人は、一切合切流されてしまった。本当に何もないんです。あるのは記憶だけ。でも記憶も時間とともに薄れていってしまう。たった一枚の写真があることが、今まで生きてきた証となって、これから生きていく支えになるんです」

この方も家を流されて、かなり遠くからアルバムが見つかったとおっしゃっていました。そして、「被災地の写真やアルバムの救済をぜひ支援してほしい」と言われました。一番最初に訪れた場所でこのお話を聞けたことがプロジェクトの支えになりました。

私が写真の価値について考える時、思い出すのは、この時に言われたリーダーの言葉です。

写真は、今まで生きてきた証であり、これからを生きていく支え。

資産ともいうべき写真が、押入れや物置で、パソコンやスマホの中で、整理できずにグチャグチャになって負の資産になってしまっている。これらの写真をどうすれば正の資産にしていけるか。これからの自分のテーマとして考えていきたいと思っています。